子どもの貧困 (第3回)
今年初め、東京・日比谷公園の年越し派遣村を取材した時のことだ。
大晦日の夜に「村民」になった20代後半の若い男性がいた。
長髪でフードのついた黄緑色のジャンパーを着ていた。
派遣社員として三重県の電機工場で働いていて「派遣切り」に遭った。
住んでいた寮を追い出され、所持金も使い果たし、
直前の数日間はネットカフェや公園で眠る生活だったという。
食べるものに事欠き、野宿生活で疲れていたはずだが、
質問には屈託なく答えてくれた。
「うまいっすねえ」。そう言って雑煮をすすっていた彼にこれまでの経歴を聞いてみた。
北海道出身だという。同郷だったので親近感がわき、詳しい地元を尋ねてみると
私にも土地鑑のある場所だった。
幼い時に母親が病死し、父親が再婚。
しかし父親は家を出て行方不明になり、
義理の母親から見捨てられ児童養護施設に預けられた。
その後、高校を卒業するまでずっと児童養護施設にいた。
しかし卒業と同時に施設を出なければならず、
「寮があって働きながら通える専門学校」に入った。
この時点で血のつながらない実家や福祉行政からの援助は完全に途絶え、
自分で稼ぎ、自分で生きていく生活が始まった。
だが、専門学校にはなじめずに中退。
資格もないまま工場の派遣労働を転々とする生活を繰り返してきた。
児童養護施設は中学卒業や高校卒業で
施設を出たとたん、たった一人社会に放り出される。
蓄えもないままいきなり働き出さねばならないので、
選択肢は寮がついた工場派遣、寮がある飲食業、パチンコ業界など
限られたものになってしまう。
彼が行き着いたのは工場派遣だった。
現在、非常に不利を強いられている業種である。
真っ先に派遣切りに遭い、スキルアップも望めない労働だったから、
新しい就職先を見つけることは困難を極めている。
もしも・・・・児童養護施設を出る時に、あるいは出た後で、なんらかのサポートシステムがあれば彼の人生は
今と違ったものになったのではないか?
そんなことを彼を取材した時に感じた。
もうひとつ例を挙げる。
ネットカフェ難民生活を続けていた30歳近い男性を取材したことがある。
実家の家族に頼れずに逃げていると言っていた。
母親と義理の父親に幼い時から苛烈ともいえる虐待を受けていた。
犬小屋に鎖でつながれ、夜になると手の指の爪を1枚1枚はがしに親たちが
やってくる。耳にドライバーを突っ込まれたり、車の下敷きにされて骨を
折られたり。それを裏付けるように彼の顔や体は骨の歪みがあちこちにあった。
形だけ通っていた高校を卒業した後、
家を逃げ出し都会に出てきたが、
「身寄りがない」彼には身元を保証する親族が全くいないため、
まともな就職が出来ない。まともな賃貸住宅も借りられない。
さらに
就職や引っ越しなどに必要なまとまった資金もない。
結局、日雇い派遣で引っ越し仕事や倉庫仕事、工場派遣などを転々とする生活で
ネットカフェ難民の生活が長くなった。今も虐待のトラウマで不眠が続き、
精神状態が安定しないことがある。それゆえ仕事が長続きしない。
この男性も、もし子ども時代に虐待されていた頃、行政(児童相談所)が早めに発見して、
あるべき児童福祉の恩恵を受けられて、大人として生きていくためのサポートを受けることが出来たら、
おそらく違う結果になったはずだ。
そんな人たちと向き合うたび
「大人になってからの不利」と「子ども時代の不利」は相関があるのではないだろうか?
そんな疑問がふくらんだ。
先日、「子どもの貧困」の第一人者である
国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんの話を聞く機会を得た。
阿部さんは岩波新書「子どもの貧困」が話題を呼び、いまや政府機関や政党、財界など
あちこちから引っ張りだこという大変多忙な人だ。
わざわざ時間を割いて、記者たちのための勉強会で報告してもらえることになった。
阿部さんの報告は衝撃的だった。
阿部さんは様々な統計を読み解いて、そこにある社会問題を浮かび上がらせる仕事をしている。
阿部さんによると、日本では子ども7人のうち1人がすでに「貧困」といえる状態。
しかも、その貧困はこの20年ほどで急速に拡大し、貧困率は上昇中だいう。
貧困な状況の子どものデータを見ていくと、
健康状態、学力、虐待、学校での疎外感など様々な「不利」を
現在も受けている。
そればかりか、こうした子どもたちが大人になってからの状況を追跡すると、
「不利」が就職や寿命、健康、人間関係の欠如などに影響し、
大人になってからの生活水準に大きく関係していることが分かるという。
驚いたのは、日本では政府による所得の再分配の後で、
子どもの貧困率が上昇している、というデータだった。
欧米諸国など外国では再分配の後で貧困率は減少している。
考えてみれば当たり前の話だ。
税金を取って再配分するのは、社会の不平等を少しでも
なくす方向で配分する、つまり、貧困をなくしていく方向にする、
というのがどんな国でも目的だろう。
それが逆に貧困が増えるというのは一体どうした社会なのか?
政策が機能していないことをこれほど雄弁に物語っているデータも貴重というか
珍しいだろう。
子どものいる家庭の負担を減らしたり、給付を増やしていくことなど
経済状況を改善させる政策が子どもの貧困解消に有効だと阿部さんの示すデータは物語っていた。
そんなショッキングな事実を突きつけられて、
われわれ記者には何が出来るのだろうか考えさせられた。
このままだとますます子どもたちが報われずに
不平等な社会になっていくことは間違いない。
阿部さんから教わったことを生かして報道につなげていきたい。
他方で、阿部さんが各種のデータから紡ぎ出すような説得力ある報道を、
映像が主体の、テレビというメディアでどうやって実現できるか、という
大きな課題はある。
それは試行錯誤していくしかないのだろう。
(阿部彩さんの学説に興味のある方はぜひ岩波新書「子どもの貧困」をお読みください!)
5月5日の「子どもの日」。
この日は「ズームイン!SUPER」で新聞解説をする担当だったので
早朝から各紙の新聞をじっくり読んだ。
残念なことに「子どもの貧困」に直接言及した記事はほとんどなかった。
私が注目したのは、今人気を集めている経済評論家の勝間和代さんのコラム(読売新聞)とルポライターの鎌田慧さんのコラム(東京新聞)だった。勝間さんは日本社会の「少子化」はすでに20年前から深刻だったが、政府は適切な政策を実施してこなかったと指摘。若い年代で貧困が広がり、結婚できない「非婚・未婚」が増加する問題に手をつけるべきだと訴えた。鎌田さんは、娘さんがフランスで留学して結婚、出産、子育てを経験しているというエピソードを引きながら、保育所から大学まで公立ならタダで子育て・教育にカネがかからないばかりか、手当もたくさん出ると紹介。カネがかからないフランスの事情とカネがかかる日本を比べて、せめて教育費は無料にすべきだと主張していた。日頃、スタンスが違うようにみえるこの2人が奇しくも若い世代や子育て世代へのセーフティーネットの弱さをそろって指摘し、改善を提言している点は興味深い。
社説は朝日新聞が世代間の負担・給付格差(現状では子ども世代に薄く、高齢者に厚いといえる)見直しを訴え、毎日新聞が虐待などの問題解消を訴えていた。
「子どもの貧困」は、社会保障、雇用、医療、教育、税、家族、虐待、犯罪など
様々なテーマを包括するだけに報道の「とっかかり」は難しい。
映像では見えにくいだけにわれわれテレビ報道者にとってはどう報道するかは
難問でもある。
だが子どもたちにとって容認できない事態が広がっていることは
日頃のニュース報道を通じても
いろいろな局面でわれわれ自身がうすうす感じていることだ。
なんとかその突破口を切り開きたい。
水島 宏明
Comment
キコリ さん
子供の貧困さは自然の中での人間のかかわり方を忘れてしまった現代社会の結果だと思います。自然の循環の中に人がどのように生かされているのかが分からない、そして伝えることの出来ない社会がげいんだとおもいます。
2010年3月30日 08:32
ガンボラ さん
要保護児童への対策も緊急を要しますが、普通学級に在籍する、要支援児童・生徒への対策も、急務ですし、数の上では、要支援児童・生徒は数倍の人数になります。
個別のニーズに対応した教育制度を整えるのは、費用も莫大になりますが、現在あるリソースを使って、子どものニーズに合った教育環境を自由に選択できるように制度を整えるだけなら、すぐにでもできます。
ワタミの渡辺さんが提唱している、教育チケット制を導入し、学校だけでなく、様々な教育環境で個別のニーズにあった場所を選ぶことができるように、して下さい。
子ども手当てとして、現金で親の元に配るのではなく、チケットにして教育に使える費用を補助するというシステムにしない限り、要保護・要支援児童・生徒は減少しません。
現在の子どもを取り巻く環境を、真剣に真摯にしっかりと見てください。このままでは、子ども達の未来はありません。いま、教育に費用をかけないで手をこまねいていては、5年後、10年後には、恐ろしいことになります。
2009年12月23日 16:23
ABC(K) さん
知られていない公的虐待はたくさんありますが(私もいくつか投稿させていただいていますなが)なぜか掲載されない事が多い事を不思議に思いますし、残念にも思います。
それはさておき、本日も公的資料と呼べるものをご紹介致します。
下記のURLは「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」に07/4/3付で各委員や厚労省に配布されたものです。虐待等で盛大に報道され、騒がれた子どもの行く末に関する事ですが、なぜか報道される事が異常に少ない事柄です。
是非ご覧下さい。
http://yogo-shisetsu.info/weblog/edward/archives/6.html
尚、2008年末時点で発覚している児童養護施設(ほとんどの被虐待児が行き着く先)の不祥事が15.5%にのぼる事(内訳は
体罰39件
無処罰のものも含む性虐待21件
死亡6件
児童間暴力5件
盗聴2件
宗教強制2件
情報漏洩2件
衛生管理 繰り越していますが 1件
監督不行き届き1件
その他1件)です。
詳細(既出)↓↓
http://gyakutai.yogo-shisetsu.info/speech/20081215hiroshima-speech.pdf
このような不祥事は2009年度も増え続けています。
児童福祉施設には公金が使われているのですから、国民全体がそろそろ本気で考えなければいけない時にきているのではないでしょうか?
2009年12月20日 01:38
ABC(K) さん
まだ不完全ですが、社会的養護専門委員会にも意見書をだされた養育里親さんの意見書(案)をご紹介致します。
http://satooya-renrakukai.foster-family.jp/datafile/20081005yobikake.html
この意見書(案)の5ページに「登録里親への児童委託率が第1位の自治体と最下位の自治体では【35.7倍もの格差がある】」事が書かれています。
こうのとりのゆりかごに関連します話題や、養育里親の平均年収は平均より高い事、自治体事の格差等、非常に参考になるデータや一目で理解できるグラフ等が多用されていますので、何か言うよりもまずご覧下さい(物を言うのは現実を把握してからにして下さい)
2009年12月19日 06:01
ABC(K) さん
ふと疑問に思った事がありますので投稿させていただきます。
なぜ報道関係者は児童虐待等がおこれば盛大に騒ぐのに、虐待の防止等の情報にはほとんど触れないのでしょうか?(これは虐待に限った事ではない気もしますが・・ おこった犯罪等は盛大に報道して騒ぐのに、その犯罪等の原因を検証しようとしていないように見えます。また防止策等についても真剣に考えていないように見えます)
なぜでしょうか・・?
ニュースは商品ですか?
もしくはショーなのでしょうか?
本当に必要な(知りたい、そして役に立つ)情報が報道される事は稀な気がします。
なぜ、子どもの虐待を防止しようとしている「オレンジリボンネット」 http://www.orangeribbon-net.org/
http://www.orangeribbon-net.org/mission.html
等の情報には触れないのでしょうか?
11月30日の虐待死した子どもを悼む鎮魂集会とパレード
http://www.orangeribbon-net.org/topics/parade_301109.html
の存在はご存じないのでしょうか?
「児童虐待防止法の改正を求める全国ネットワーク」 http://www.zenkokunet.org/
という集団がありますが、なぜ触れないのでしょうか?
児童虐待防止法の不十分な点を報道関係者はご存じないのでしょうか?
毎日毎日、趣味の悪いショーが電波に乗って届く事に、うんざりした気分になる事があります。
2009年12月17日 19:11
ABC(K) さん
「こうのとりのゆりかご」の最終報告です(熊本県庁のホームページ)↓↓↓
http://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/27/kounotori.html
この子たちがどこでどのように育つのか、日本社会に何が欠けていて何が必要なのか等を真剣に考えるきっかけになると思いましたので投稿させていただきました。
2009年12月 8日 02:33
なつな☆ さん
水島 宏明さん、いつも「ズームイン!スーパー」見ています(*^_^*)
ネット・チャットについてどう思いますか?水島さんのお子さんがもし親に内緒でチャットで「死ね!ウザイ!消えろ!」と平気で書きこみしてたらどうしますか?
まだまだネット環境よくなりません!ネット生活してる人=チャットしてるひとがほとんどです。
これからも、ネット関係の取材頑張ってください!応援しています、
はやく、安定した平和な世の中になるといいのですが・・・
2009年11月30日 12:49
ABC(K) さん
皆さんは
『社会的養護』
という言葉をご存じでしょうか?
大雑把に言えば「何らかの事情があって子どもに原因は全くないのに保護者が育てられない子どもを社会(あなたも私も社会の一員のはずですから、社会的養護を担う人間です)が責任をもって育てる」といった意味の言葉です。
TV等でよく目にする虐待等を受けた子どもは通常「社会的養護」の対象児(要保護児童)になります。
社会的養護は大雑把に分けて児童養護施設等の
「施設養護」
と
養育里親 や養子縁組を目的とした里親
等の
「家庭的養護」 のニ種類あります。
日本の現状は社会的養護といえば「施設養護」
が中心です。
皆さんはご自身が「社会的養護」を担っている自覚はありますでしょうか?
現在の日本の社会的養護の中心となっている児童養護施設等の「施設養護」とは日本の専門家や、海外の方々からどのように評価されているのでしょうか?
今までこのような情報が陽の目を見た事はほとんどない気がします(不思議な事に、ある保護者がいかに残忍な仕打ちを子どもに与えたかは盛大に報道されますが、その子どもが保護されたやその子がどのような人生を歩む事が多い等といった情報は全くといって言い程、本当に驚く程報道されません)
そこで、この掲示板?に(掲載されるかはわかりませんが)、私が知るこの種の情報の一部を提供したいと思います。
今回は津崎哲雄(京都大学:公共政策学部福祉社会学科教授)氏が上梓された
【【この国の子どもたち:要保護児童社会的養護の日本的構築 ―大人の既得権益と子どもの福祉 ―】】
という書籍の「目次」と「はしがき」の一部をご紹介したいと思います(くどいようですが、ここに載るかわかりませんが、少なくとも報道関係者には知っておいていただきたい著書です)
『社会的養護=社会が子どもを育てる』の対象児(要保護児童)であるにも関わらず、なぜか社会にはその存在さえ全く知られずにいる子どもについて書きたいと思います。
http://www.fukushinohon.gr.jp/esp.cgi?_file=book1196&_page=_index&_page2=contents&_page3=detailbook&_sys_id=1196&_class=030301
《目次です》
児童福祉に携わる方、現在の児童養護施策に危機感を感じている方に。
児童養護施策の構造的問題点とその原因を究明。
----------
●日本の児童養護施策自体から、施設内部や里親家庭などの現場まで、全体を通して児童養護施策の問題点とその原因を究明。
●英国と日本の児童養護施策に対する活動や児童の声を紹介し、意義や可能性について解説。
●大人の既得権益によって子どもの権利が侵害される児童養護施策について、改善の可能性を探る。
----------
〔目次〕
1章 子どもの意見表明と児童養護施策実践改善の可能性
【1章を読むために:子どものエンパワーメントと施設経営】
1章−1 英国児童養護における利用者のサービス評価活動の展開とその意義
I はじめに
II 養護体験者によるサービス評価の諸相
III リーズにおけるAd−Lib Groupの活動
IV Who Cares? Movementの原点――London Who Cares? Groupの成立
V Wakefield Who Cares? Groupの成立
VI Who Cares? Action Groupによる養護サービス改善へのアピール
VII 全国養護児童協会
VIII むすびにかえて――Who Cares? Movementの意義
1章−2 わが国における「養護児童の声」運動の可能性―全国養護施設高校生交流会の展開とその意義―
I はじめに
II 全国養護施設高校生交流会第1,2,3回大会の概要
III 第3回大会第14班における分散会の実際
IV 全国養護施設高校生交流会における高校生の意見表明
V 参加した高校生および職員の交流会に対する評価
VI 今後の課題――日英の比較から
2章 児童養護処遇選択肢と子どもの利益
【2章を読むために:大人の既得権益と児童養護処遇選択肢】
2章−1 児童入所施設ケアの終焉?:英国ウォリクシャ社会福祉部による児童入所施設全廃施策実践の経過と評価
I 序論
II ウォリクシャ社会福祉部における児童ケア施策実践の史的背景と基本理念
III ウォリクシャ社会福祉部における児童サービス・チーム
IV ウォリクシャ社会福祉部の施策実践の基本的命題とその評価
V 結論――わが国の児童養護施策実践への意味合いをも含めて
3章 児童養護施策と大人の既得権益
【3章を読むために:施設職員研究組織の既得権益擁護】
3章−1 子どもの意見表明権と施設養護改革
I はじめに
II わが国の養護施策における既得権益擁護と集団主義養護
III 子どもの意見表明権と施設養護改革
IV 結語
3章−2 大人の既得権益と子どもの最善の利益:長谷川氏らの職員努力=施設養護改善論に応える
I はじめに
II 施設養護の現状認識
III 「行政による児童虐待」か「緩慢なる人間虐殺」か――実習生・職員・施設長・研究者などの指摘
IV 子どものニードと集団主義養護
V まとめ
3章−3 こんな施設は日本に存在すべきではない!―竹中氏の批判に応える―
?T はじめに
?U 日本児童養護問題研究会と集団主義養護論
?V 集団主義養護理論自体の評価――再び
?W 実習問題と施設養護スキャンダル
4章 児童養護システムにおける子どもの権利侵害
【4章を読むために:児童施設内個別虐待(いじめを含む)と大人によるシステム虐待
5章 里親制度の日本的構築と児童相談所
【5章を読むために:里親委託施策の構築と児童相談所の既得権益】
5章―1 わが国における里親制度の基本問題:宇都宮里子傷害致死事件に学ぶ
?T はじめに
?U わが国における里親制度の概要
?V 宇都宮里子傷害致死事件の概要
?W 宇都宮里子傷害致死事件の発生原因の検討
?X 結語
終章(むすび) 児童養護問題と社会的養護施策の構築
―養護児童のエンパワメントに向けて―
補遺?T 社会的養護委託人口国際指標(介入率と処遇類型)
補遺?U 弟11回東京地区児童養護施設高校生交流会意見表明
補遺?Vイギリス養護児童権利憲章百ヶ条
あとがき
引用/参照文献
事項索引
皆さん、是非『社会的養護』を担う一員として図書館等で良いですからこの書籍をご覧下さい。
現在の施設養護は津崎哲雄教授が3章2−IIIで触れられているように
【III 「行政による児童虐待」か「緩慢なる人間虐殺」か】と言われる程酷い=あなたがTV等で目にする虐待された子ども達がいう場所で【「行政による児童虐待」か「緩慢なる人間虐待か」】と言われる程酷い扱いを受けるのです。子どもは全く悪くないのに、本当に散々ですね・・・
上記書籍の「はしがき」の一部をご紹介致しますね。
http://www.fukushinohon.gr.jp/esp.cgi?_file=hashigaki1196&_page=_index&_page2=contents&_page3=hashigaki&_sys_id=1196&_class=030301
はじめに――大人の既得権益と要保護児童の扱い方
読者の多くは、この国における要保護児童の社会的養護(様々な理由で実親やそれに代わる保護者のもとで暮らすことができぬ約4万人の子どもたちに国・自治体が提供する衣食住・教育・人間関係)は、経済大国にふさわしいそこそこの水準にあると信じているかもしれない。本書の狙いは、そうしたナイーブな思い込みを反省・再考し、社会的に最も弱い少数者にこの国が行っている「児童福祉事業」(社会的養護)の本質に目を向けるささやかなきっかけを提供することである。かつて孤児救済事業といわれ、現在は児童の社会的養護と呼ばれ誰からも「たいへんだがすばらしい福祉事業」として称賛される社会的営みを、ある意味で非神話化する試みである。
読者は読後に以下のような素朴な疑問を抱かれるかもしれない――なにゆえにこの国では、子どもへの社会サービスの基底と国際的に承認されている子どもの声(意見表明)活動が施設経営者団体によりつぶされたのか、民間児童福祉施設は決して倒産せず21世紀にますます増加しているのか、施設従事者研究運動組織は施設小規模化・里親委託の推進に(少なくともかつては)積極的になれなかったのか、時代錯誤の甚だしい大規模施設が業界の大多数を占めるのか、職員による施設内虐待・入所児童間いじめの防止法規を厚労省が準備するのか、国際的主流となっている家庭的養護選択肢(里親委託・特別養子縁組)がほとんど浸透しないのか、児童相談所は里親委託を等閑視するのか、親族里親委託がほとんど行われないのか……。こうした多くの根源的疑問に本書は直接的に答えるものではない。とはいえ、そうした素朴な、しかし本質的な多くの疑問を考える枠組みを読者に示唆している。
筆者の友人である英国社会人類学者グッドマン教授は、日本社会の人類学的研究に独特の視点を抱き、最も社会的に弱い存在の者を当該社会・国家がどのように扱うか調査することによって、その社会特性の重要な指標を明らかにできると考え、最初は帰国子女を研究、帰国子女社会的弱者説の非神話化を行い、日本社会の社会人類学的研究に新境地を開いた。次いで、現実の最弱者研究を目指し、障害児・養護学校研究に着手する寸前に、ある人物から次のような助言を得た。
日本社会が最も社会的に弱い構成員をどのように扱っているか理解したいのであれば、親が養育できぬ(can not)、養育する気をもたない(will not)、養育することを許されない(not a llowed to)子どもたちが暮らしている福祉施設を研究すべきです(略:詳細は上記URLを参照下さい)
さて、この投稿は載せられるのか疑問に思っています。
「(親が親として機能できない子どもを除く)子どもの未来を守れ」にならないか危惧しています。
30年近くそのような事が続いていましたから・・
この投稿が掲載されればまた私が把握している情報や日本TVさんの要望等も書いていこうと思います。
長文になりましたが失礼致します
2009年11月18日 04:19
ABC(K) さん
更なる追記です。
施設内虐待についてですが、皆さんが気づかれているかどうかは別にして、既に国家レベルの問題になっています。
以下は、首相官邸のホームページから「施設内虐待」というキーワードで検索しました情報をそのまま抜粋したものです↓↓
http://www.kantei.go.jp/k/qa/archive/20071220a.html
お答えします
家庭内虐待などの理由で家庭で暮らせなくなった子供たちが、入所した児童福祉施設で再び入所者児間や職員から虐待を受けるケースがありました。このような不幸なことが再び起こることのないように、施設内の虐待防止策の検討をお願いします。(平成19年12月20日)
1.保護者のいない子どもや、保護者から虐待を受けた子ども等が入所している施設を児童養護施設と言いますが、こうした子どもが守られる場での虐待は、子どもの心身をさらに傷つけるものであり、絶対にあってはならないことです。
2.政府としても、施設内の虐待防止策については、しっかりと取り組んでいかなければならない課題であると考えています。
3.このため、昨年10月に都道府県等に対して通知を発出し、施設内での虐待を未然に防止したり、早期に発見できるよう、職員の資質向上、子どもの意見表明の機会の確保などについて、施設を運営する法人への指導を徹底してきたところです。
4.また、本年11月に社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会(*1)において、子どもの権利擁護を図るための体制整備や、施設内虐待等に対する対応等、施設内虐待防止や子どもの権利擁護の強化に関する方策を含め、報告書が取りまとめられたところであり、今後、この提案等を踏まえ施策の具体化を図ってまいります。
以下のURLは、PCにて閲覧が可能なページです。
(*1)社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会
http://www.mhlw.go.jp/shingi/hosho.html
尚、私は政治的な事にはあまり興味はありません。より多くの子どもの未来が守られればそれでいいと思います
2009年9月30日 22:43
ABC(K) さん
前回の私のコメント(2009/8/25 00:32:53)は社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会の報告書のURLがない事に気がつきましたので載せます。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/11/s1129-7.html
以下は児童養護施設に関します追記です。
上記委員会の第二回の議事録にも載っています意見書です↓↓
http://gyakutai.yogo-shisetsu.info/speech/20070922shakaitekiyogo-senmoniinkai-ikensho.pdf
更に以下は「2008年 子ども虐待防止学会 第14回学術集会 ひろしま大会に寄せて」 と題された資料です。
http://gyakutai.yogo-shisetsu.info/speech/20081215hiroshima-speech.pdf
子どもの貧困や虐待といったテーマでは決して避ける事のできない現実が描かれています公的な資料ですので是非ご覧下さい。
ACTION関係者の皆様へ
大変映像化しにくい難しいテーマに取り組んでらっしゃると思います。
皆様に尊敬の念を抱きます。既に頑張ってらっしゃると思いますが、更に頑張っていただければ…と思います。
欲を言えば掲示板等の存在を知らしめる事にもう少し注意を払って下さい。
また、関連資料(可能な限り公的な資料)を投稿させていただこうと思っています。
失礼致します。
2009年9月30日 21:22
ABC(K) さん
児童養護施設について触れられていますので、コメントさせていただきますが、いわゆる「施設内虐待」についても社会全体で考えなければいけない気がします。
虐待を受けた子どもについては頻繁にニュースになる気がしますが、その子どもの行方についてはほとんど報道される事がない気がします。
この点に関しましては「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」で現在も議論されているようですが、虐待から保護されたほとんどの子どもが児童養護施設にいきます。
さらに、児童養護施設と言いましても相当な格差が存在する事が確認されています。
参考までに↓
平成19年11月29日に出された『厚生労働省:社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書』をご覧下さい。
「人材確保のための仕組みの拡充」という項目に 施設長・施設職員の任用要件の明確化・適正化すべきである(原文そのまま)という結論が出ています。
児童養護施設と言いましても相当な違いがある事が指摘されています。
尚、「施設内虐待」という言葉は厚労省でも普通に使われています。
「施設内虐待」というキーワードで検索すればすぐにわかりますので是非ご確認下さい。
子どもの貧困という問題を考えるに当たって基本的な情報がないように感じましたので私が把握している範囲の情報を投稿させていただきました(この情報が掲示板に掲載され、子どもの貧困等の問題を考える基本的な情報になる事を望みます)
また投稿させていただこうと思います。
2009年8月25日 00:32
hide さん
そうだと思う
私たちや、学校の先生、周りの大人たちが、子供たちにしてきた教育が間違っていたのではないか、また政治家、官僚たちの政治のやり方に振り回されていたのでないかと思う。
もう一度、自分たちで、考え直してみることも大事だと思う。
2009年6月 5日 20:06
blgadmin さん
そうだ
2009年6月 3日 16:23
コメントはこちらから
子どもの自殺予防 とにかく話を聴いてあげて(第2回)
三重県で、私立高校に通う16歳の男子生徒が3月3日に自殺していたことが明らかになりました。
遺書に、「暴言や暴力」といった言葉があったといい、いじめを苦にして悩みぬいて、死を選んだとすれば、どんなにつらかったか、胸が締め付けられる思いがします。
ネット上の暴言など含めいじめはますます陰湿になり、大人の目に見えにくい形になっているといいます。
周りの子どもたちも、そして被害者本人も、大人に相談するのをためらい、学校の教員や保護者が気付くのは簡単ではない現実があります。
いじめについては、別の機会に書きますので、今回は、子どもの自殺について、かなり長くなりますが、まとめてみます。
今年の1月19日、文部科学省は、学校の教員向けに「子どもの自殺防止マニュアル」をまとめ、今月下旬には各学校に配布します。(文部科学省のHPでも公開予定)
精神科医や自殺予防の授業に取り組む教員らが中身を練り上げたもので、教員(ひいては親含む大人)や同級生が、自殺しそうな子どもがいた場合、どう対応するとよいのか、また、不幸にして子どもが自殺した場合の対応も詳しく書かれています。
このマニュアルをまとめる会議の中で医師らが強調し、最終的にマニュアルにも盛り込まれたポイントは以下です。
■自殺の原因は複合的■
いじめが唯一の理由である場合には、学校などで事実関係を調べる必要があるが、
実は、子どもの自殺の理由は多岐にわたっていて、多くは、様々な悩みが複合的に重なった結果である。
(警察省が遺書などに書かれた内容を集計した結果、2007年度、未成年の自殺者548人の原因・動機は(自殺者一人に3つまで理由計上)
精神疾患・うつ病の悩み138人、進路・成績の悩み91人、男女問題の悩み54人、いじめ・学友との不和35人、家族の不和28人)
■簡単にはいかないが、自殺は予防できる■
突然の自殺に見えても、実は、子どもは救いを求めて、声をあげていることが多い。
周囲がそれに気づいて、信頼の絆を回復することこそが自殺予防につながる。
危険なサインを見つけたら、とにかく寄り添って話をきく。「励ます」「叱る」は厳禁。
精神科の医師によると、「最後の一本の藁」という言葉があるそうです。砂漠を歩くらくだに次々と重い荷物を負わせ、まだ大丈夫だろうと、最後に一本の藁を乗せたところ、らくだの背骨が折れてしまった。負荷に耐える力が限界に達している場合、藁一本でも、命とりになる・・・というたとえです。
たとえば、両親が不仲で、友達と喧嘩した上に、成績悪化、その上、転居したなど重荷が重なり、相談する相手もいない場合、誰かのちょっとした一言や、傍目には小さく見える失敗でも自殺にいたる危険があるというのです。
よって、子どもの自殺(大人も同じかもしれませんが)を防ぐには、悩みが重なる、深くなる前に、保護者や教員などが子どもの変化に気づいて、何が不安なのか理由を探っていき、具体的に軽減策(転居を延期する、夫婦喧嘩をやめる)をとるのが、初期段階での対応です。
自殺に至る前に、子どもが見せる変化(=救いを求めて出す「叫び」)とは、文章や絵に「死」について書く、小さい子どもなら画鋲を飲む、道路に飛び出すなど危ない行為や怪我を繰り返す、手首を切るなど自傷行為をする、服装や性行動が急に過激になる、・・・などだそうです。
自殺したお子さんの保護者の方が「どうして事前に察知して止められなかったのか」と悩まれる例もあるといいますし、こういった「サイン」を見つけるのは難しいかもしれませんが、自分の子どもの表情の変化などを日ごろからよく見守る姿勢が、忙しい現代こそ必要ということですね。
次に、こういった「自殺に至るサイン」を見つけたり、「死にたい」と打ち明けられたら、大人はどうすればいいのでしょうか?
とにかく、寄り添って、大切していることを伝える。(言葉で表す、ただぎゅっと抱きしめてもよい)
そして、子どもの絶望的な気持ち、死にたい気持ちをひたすら聴くことだそうです。
「死ぬなんて馬鹿なこと考えるな」とか「頑張れば元気になる」など励ましたり、叱ったり、説得しようとせず、寄り添って、話をきくことが大切。
そして、子どもが精神的に追い詰められている場合、学校のカウンセラーや精神科医の助言を仰ぐことが必要だといいます。
それから、これを読んでいる若い皆さん、もし友達から「死にたい」と打ちあけられたら、話をそらしたり、冗談と受け止めず、とにかく聴いてあげてください。人に話すことですっきりすることもあるしね。
そして、「秘密にしてね」という言葉があったとしても、友達の深刻な変化について、信頼できる大人に必ず相談してください。友達の深い悩みをあなた一人で抱え込んでも、なかなか解決できないし、もし、その友達が自殺してしまったら、その友達も、恐らく一生苦しむであろうあなたも、ともに不幸になってしまうから。
1月、この「自殺防止マニュアル」をニュースZEROで放送した際、10代の時、自殺未遂をした経験から、自殺予防の小説をネットで公開するなどの活動している作家の中園直樹さんに話をききました。
中園さんも、「自殺願望を察知したら、大人はとにかくありったけの愛情を注ぐこと。」と言います。
そして、「まずは子どもの信頼を得ないといけないのだから、余計なことは一切言わず、ただ話を聴いてあげる。自分に何ができるかなどと思わず、とにかく信頼を勝ち得ることをめざしてほしい。
信頼してくれないと、子どもは’ありがとう’とその場では言っても、’でも、僕は死ぬよ’となってしまう。自分にできることはないかもしれないけど、支えくらいにはなれるかもしれない、と言われたら、何となくこの大人に話してもいいかなと思う。
救うというと完全に上から見ている言葉なので、’支えになりたいと思ってる’というと響くと思う。」ということでした。
第一回のブログでも、不登校の背景には、孤独に陥りやすい現代社会があると書きましたが、自殺に至る場合も、深い孤独感があるといいます。
結局、子どもも大人も、いかに家庭や学校で「一人じゃないよ」と伝えあい、「大切にされている」と実感できるか、なのですね。 子どもとしっかり向きあえているかというと・・・慌しい毎日を反省するばかりです。
庭野めぐみ
どの子も安心して毎日が過ごせる社会に・・・(第1回)
今回、アクションのテーマの一つに「子どもの未来を守れ」を掲げました。
どの人間も、せめて子ども時代は、笑顔で希望をもって毎日を過ごせる日本、
いえ地球にしたいという願いで1年間、取材、放送をしていきたいと思っています。
私は、10年ほど前のバンコク特派員時代、内戦が続くカンボジアや
軍事独裁政権のビルマ(ミャンマー)を何度か取材し、
人間は、生まれる場所と時代を選べないという点のみ平等だが、
生まれ出た後は、何と不平等かと痛感しました。
一度、戦乱、貧困、難民キャンプの中などで生まれた子どもたちは、
個人の努力だけで状況を変えるのが非常に難しく、将来の夢や希望が
抱きにくいことを目のあたりにしました。
そして、今、この日本でも、
先日は、生まれたばかりの赤ちゃんが、自転車のかごに捨てられて亡くなりましたし、
児童虐待、経済的理由での退学、保育所に入れない待機児童増加、そして、
国際調査でも指摘される読解力不足などの「学力問題」、
4月から移行措置が始まる新しい学習指導要領、
外国籍の子どもの教育など、課題が山積しています。
これらの現場に行って実情を取材し、当事者である子どもたちや保護者の声も
聞きながら、改善策を考えていきたいと思います。
今、特に経済的困窮など家庭の事情が子どもに影響している例として
不登校の問題を調べています。
学校の教員や福祉分野で働く人から
「子ども本人は元気なのに、家庭が’崩壊’していて、勉強どころではなく
結果として学校にこれなくなるケースが増えている。」と聞いたからです。
実際に、ある学校を1日取材しただけでも、
保護者の失業、離婚、再婚、病気などで、子どもをある意味で振り回してしまい、
子どもが不登校になっていると見られる例に4件出会いました。
保護者が朝、起きない、お金がなく水道もとめられている、失業と転居を繰り返す、
病気で子どもの世話ができず、子どもは何日もお風呂に入れない・・・などの事情です。
子どもは、一人では、生きていけません。
親の物心両面のサポートがないと、朝起きて、ご飯を食べて、学校に行き、
勉強や遊びをするという基本的な生活ができなくなるのです。
学校に来れない彼らは、「本当は友達と遊びたい」「進学したい」「学校に行きたい」と
心情を吐露します。
この子どもたちのやる気や希望を支える仕組みを、今後、放送できればと思っています。
去年夏以降の経済危機で、影響を受ける子どもたちの増加が心配です。
「暮らしは昔の方が大変だった」「子どもの甘えだ」というご意見もあると思いますが、
「以前いた世話好きのご近所さん、親戚、学級のリーダーが減り、皆、他人のことは無関心、
家庭や個人が孤立しやすい状況になっているのではないか」という指摘もあり、
不登校ひとつとっても、背景には社会全体の変化があるようです。
今後、子どもをめぐる取材を続け、
悲しいテーマばかりでなく、前向きな話題もお届けする予定です。
どの子どもも、安心して1日を終え、元気に朝を迎えられる社会に
するにはどうすればよいのか、視聴者の皆さんにもお知恵をいただきながら、
考えていきたいと思っています。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
庭野めぐみ