再会 (第20回)
■思いは受け継がれ■
「町さん、私会長になっちゃった」
5年前、「ドラッグ・ラグ」の問題で
(当時は未承認薬の問題)密着取材をした
島根の報道カメラマンで「癌と共に生きる会」の
会長・佐藤均さんの奥様・愛子さんと先日、嬉しい再会をした。
久しぶりにお会いした愛子さんから渡された名刺には
なんと「癌と共に生きる会・会長」の文字が!!
どちらかと言うと控えめな印象だった愛子さん。
愛する人を失った哀しみを乗り越え
前を向いて生きる姿がまぶしかった。
愛子さんは佐藤さんが亡くなった後も
がん患者や家族から相談を聞く
「がん情報サロン」を地元・島根で開設し
1人でも多くの人にがんの情報を
届けたいという思いを持ち続け活動を続けている。
ちなみに島根県内には「がんサロン」が
19 か所も設置されているそうだ。
「たいしたことは出来ないけど
島根から発信することは出来る」
愛子さんはこう語った。ご主人の佐藤さんが命をかけて訴え続けたのは
「地域格差の解消」「患者の声で医療行政を変える」ということ。
当時、島根の大学病院の先生は佐藤さんに
「あと10年待ってくれ」と応えていたが
10年待たずに島根のがん医療は大きく変化を遂げ
そしてその思いは奥様へ受け継がれている。
☆3回目のブログでも「癌共」の佐藤さんご夫妻を紹介していますので
読んでいただければと思います。
■多くの感謝を■
新しい年を迎え長崎から嬉しい知らせが届いた。
長崎のあやちゃんとお母さんの元に集まった署名が
なんと!!15万人を超えたという。前回の5倍の署名である。
長崎県だけで10万人の署名が集まっていて
県民の約10人に1人ぐらいの人が協力してくれたことになる。
見て見ぬふりをせずに多くの人がアクションを
起こしてくれていることに感謝である。
この一年間、厚生労働省担当と「ドラッグ・ラグ」企画、
そしてもう一つ「パラリンピック」企画を抱え
「もうダメだ」と挫けそうな時もあった。
そんな中、スマイリーの片木さんを始め取材に協力してくれたり
ブログに思いを寄せてくださった患者さんの存在が
大きな支えとなり、そして勇気になりました。
そしてカメラマンの横山さん、音声の中村達さん
そして編集マンでありディレクターであり
長崎のあやちゃんの東京の良き兄貴分になってくれている
今村忠さんに心から感謝を。
1人ではここまでやってくることは出来ませんでした。
改めてみなさんに感謝です。
08年のアクションのテーマとしてはひとまず一区切りとなりますが
「ドラッグ・ラグ」が解消されるまで引き続き取材を続けていくつもりです。
まだまだ私達の仕事は終わりません。これからもよろしく御願いします。
必死の訴え (第19回)
■若い人達が・・・■
12月半ばの福岡。寒風が吹きつける中、
長崎のあやちゃんのお母さんが
友人、そして私達の番組を見て
協力を申し出てくれたという有志と共に
慣れない街頭で署名活動を行っていた。
お母さんは物怖じすることなく
大きな声で「未承認薬の早期承認」を訴えた。
署名に協力してくれるのは
意外なことに若い子達が多かった。
友達同士、若い恋人同士、そして母親と娘など。
中には「ドラッグ・ラグだって」と
「ドラッグ・ラグ」という言葉に反応し
足を止めてくれる子もいた。
この1年の間に「ドラッグ・ラグ」という
言葉がみんなに記憶されつつあることに感動した。
■人の心を動かす■
そしてこの日はスマイリーの片木さんも
お母さん達の署名を手伝うために
苦手だという飛行機に乗り福岡に向かった。
卵巣がん体験者の会「スマイリー」が
未承認薬の早期承認を求めて署名を集めるのは2度目となる。
1度目はスマイリーの片木さんが中心となって署名を集め
去年4月に約3万人分の署名を提出した。
実はこの時、あやちゃんはインターネットを通じて
この署名に協力していたのだった。
そして今回はあやちゃんとお母さんが長崎で始めた
署名活動に片木さんが協力することになった。
訴え続けることの大切さを感じると共に
諦めない意思の強さは人の心を動かすということを
目の当たりにした瞬間だった。
■一筆の重み■
「娘が卵巣がんで・・・」
お母さんは分かり易い言葉で
署名してくれる人に語りかけていた。
「自分の子供もがんで・・・頑張って」と
他人事ではないと署名に協力してくれる人もいた。
長崎から始まったあやちゃんとお母さんによる署名活動。
署名は10万を超える勢いで集まっているという。
長崎のあやちゃんの家は署名で溢れていた。
きちんと署名や数を確認するのに睡眠時間を削っているという。
■受け止めて・・・■
長崎のあやちゃんとお母さん、スマイリーの片木さんは
年明けに未承認薬の早期承認を求める署名を
厚生労働省に提出する予定だ。
出来れば舛添厚生労働大臣に直接受け取ってもらいたい。
一日一日を切実な思いでがんと向き合い生きる
患者の命の重みを感じて欲しい。
伝え続けること (第18回)
■アメリカの担当者■
先日、卵巣がんの抗がん剤「ドキシル」の
アメリカの開発担当者の人から話を聞くことができた。
自身も卵巣がんの専門医で
たくさんの卵巣がん患者を
診てきたという担当者は
「有効性が確認されているのに
日本の患者に使えないのが残念だ」と話していた。
■いまだ承認されず・・・■
このブログでは繰り返しお伝えしているが
アメリカでは1999年に承認された「ドキシル」。
翌年には多くの国が承認している。
日本で承認申請されたのは2007年1月。
卵巣がん体験者の会「スマイリー」の片木さん達の
懸命の働きかけで2007年11月に
通常審査から「迅速審査」になった。
がしかし・・・それから1年経つが
今、現在まだ承認されていない。
厚生労働省は「日本人での安全性の確認に
時間がかかっている」と承認が遅れている理由を話す。
■海外との違い・・・■
アメリカの担当者によると
新薬の承認審査の際、ヨーロッパでは
外の大学の教授や専門家の意見を聞いて
審査を迅速化しているという。
そしてアメリカのFDAにはスタッフが1万人いて
そのうち30人から40人の腫瘍内科医がいるという。
腫瘍内科医は2人しかいない
日本の審査体制とはあまりにも違いすぎる。
またアメリカではこの秋に
がんの研究のための募金を呼びかける
大キャンペーンをテレビで放送したという。
ABCやCNNなど主要なテレビ局が参加し
同時間帯に2時間番組を放送したという。
■メンバー10人が・・・■
「今年の夏、「スマイリー」のメンバー10人が亡くなった。
その中に30代の患者さんが3人もいたという。
「ドキシル」があればがんが治ると患者は誰も考えていない。
そうではなく「ドキシル」があればもう少しだけ
愛する子供や家族のそばにいられるのに・・・
卵巣がんの患者の治療の選択肢を増やしてほしい」と
スマイリーの片木さんは訴える。
いつも明るくパワフルな
片木さんだがなかなか事態が動かず
諦めそうになった時もあったと本音をもらした。
しかし先日、私達の取材きっかけに長崎のあやちゃんと
お母さんが友人と共に署名活動をはじめた姿を見て
もう一度、頑張ろうと思ったという。
■伝え続けること■
「2年前はドキシルをほとんどの患者さんが知らなかった。
だけど今はほとんどの患者が知っているし
支援してくれる先生も増えた。
ドキシルだけでなく他の薬にもつながってほしい。
伝え続けることが大事ですね。」
日本の「ドラッグ・ラグ」はまだ少しも解消していない。
私達も「ドラッグ・ラグ」が日本から無くなるその日まで
伝え続けなければという思いを新たにした。
小さな動きが・・・(第17回)
先日の放送後、今まさにドラッグラグに直面している方、ご家族ががんと闘っている方など切実な声が番組に寄せられました。本当にありがとうございます。
その一人一人の声が国を動かすと私達は信じています。
■また一歩前に・・・■
あやこさんもあの放送後、抗がん剤治療の合間をぬって芦屋で行われたリレーフォーライフというがん患者やその家族によるイベントに参加してきました。
体のことを心配し反対していたご両親を説得し、また一歩前に踏み出しました。
自分と同じがん患者さんと話しをしたあやこさん。涙あり笑いありの一日でした。
■家族で向き合う■
私達の取材を受けることで体力的にも精神的にも無理をさせていないかいつも心配していましたが、あやこさんから取材をきっかけに家族と病気に関して初めてきちんと話しができたと聞きました。
がんと向き合うことは言葉でいうほど簡単なことではありません。
末期がんの母の前で「来年・・・」という言葉を発することができなかった私達家族も本当に向き合えたかどうか。。。
だからこそとてもすごいことだと思うし、嬉しい話しでした。
■小さな動きが■
そしてもうひとつ嬉しい話がありました。
放送を見たあやこさんやお母さんのお友達が「ドキシル」の承認を求める署名活動をしたいと言ってくれたそうです。
あやこさんやご家族の勇気がしっかりと長崎に根をはり芽を出そうとしています。
卵巣がん体験者の会「スマイリー」の片木さんと出逢い、そしてさらにあやこさんと出逢い、そうした小さな出逢いの積み重ねが今1つの流れになろうとしています。
■きっかけ■
きっかけはとても大事だなと思っています。
病気について考えるきっかけ、なにより一人で抱えないで悩み苦しみを分かち合うきっかけ。。
私は母と父をがんで亡くしたこときっかけにこうやってがんの企画に携わっています。
ドラッグラグを始め沢山の問題があり、毎回一度では全てを伝え切れずにもどかしい思いもありますが、私達の放送が小さくてもいいので何かのきっかけになればと思います。
誰しもがんになる可能性があります。その前に少しでも考えるきっかけになれば・・・
そう願いをこめてまた次回も放送したいと思います。
子供に愛情を与えられたら・・・(第16回)
■はじける笑顔■
私達が再び長崎のあやこさんの元を訪れた日、
彼女は子供達の輪の中ではじける笑顔を見せていた。
勤め先のスーパーが主催する
夏祭りの出店の手伝いをしていたあやこさんは
子供1人1人に優しく丁寧に接していた。
ウィッグをつけお化粧をきちんとした彼女が
卵巣がんという病気を抱えているなんて
誰が想像するだろうか。。。。
■親孝行がしたい■
今年4月、卵巣がんの再発がわかり子宮と卵巣を摘出、
術後の抗がん剤治療が始まってから4ヶ月あまり。
無理をしないで欲しいというお母さんの心配をよそに
あやこさんは治療開始と同時に地元の写真屋さんで仕事を始めた。
家で一人でいるとどうしても病気のことを考えてしまうが
働いていると誰かしら『元気?』と声をかけてくれるので
みんなから元気をもらっているという。
そして『少しでも両親に親孝行出来れば』という娘としての思いもあった。
■社会の中で■
抗がん剤治療をしながら仕事を続けなければならないあやこさんは
病気のことをきちんと履歴書に書いた。
だから一緒に働く仲間は皆、病気のことを理解してくれている。
まだ研修中でたまに!失敗もするが
明るく気遣いのできるあやこさんは
しっかりと社会の中で自分の足で立っていた。
■将来の夢は■
『子供に携わる仕事をして愛情を与えられたら。
病気をしたからこそ分かった親の有り難みとか
感謝する気持ちとか自分なりの伝え方をして
子供達に感じてもらいたい』と照れながら話してくれた。
『正々堂々と生きていれば伝わる。私らしく頑張りたい』
髪の毛も眉毛も睫毛も抜けてしまう抗がん剤治療。
副作用に負けずがんを叩くためにあやこさんは懸命に闘っている。
★放送予定★
「卵巣がんと向き合う・・・あやこ23歳」は
今週11日(木)ニュースリアルタイムの「特集」で放送します。

