< 前の記事へTOP次の記事へ >

地球温暖化最前線 アラスカ PART1
2007.06.07

世界最大の温室効果ガス排出国アメリカ。
地球温暖化問題への世界的な取り組みが声高に叫ばれる中、
ブッシュ政権は石油やガソリンの消費を削減しようとエタノールなどの
代替エネルギーの普及促進を打ち出した。
温室効果ガス削減に向けてようやく重い腰を上げた形だが、
京都議定書が定める削減の数値目標を設けることには
あくまで反対の立場を貫いている。

一方、アメリカが積極的に推し進めているのが、国内油田の開発だ。
中国などの原油の需要が急増し、中東など海外からの供給が不安定さを増しているからだ。

アメリカ50州の中で最大の面積を誇るアラスカ。
テキサス、カリフォルニアなどと並んでアメリカでも有数の油田地帯である。
南北2000キロを縦断するパイプラインはその象徴だ。
このアラスカに実は今、異変が起きている。

%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%AB1.jpg


2005年秋、われわれ取材班はアラスカ北部北極海沿岸を取材に訪れた。
マイナス30度を記録する寒さの中、ホッキョクグマの出迎えを受けた。
間近で見るナマの野生動物にしばし感動。
しかしここが動物たちの楽園と思いきや、北極海には似つかない異様な建物が目に映る。
原油の掘削場だ。
地中2500メートルにある油田を掘っているのだ。一日の生産量は100万バレル弱。
この地方での生産量は、アメリカ国内の全原油生産の4分の1を担っている。
アラスカの原油生産は、アメリカの経済を支える、重要な産業なのである。

%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%AB2.jpg


石油コンビナートの近くで猟をするドリーン・ヌカポックさん。イヌピアットという原住民だ。
凍った川の上でドリルで氷に穴をあけ、仕掛け網の漁をしている。
石油コンビナートができてから、この地で動物を見ることはめっきり少なくなったという。
その原因となるものを我々は目撃した。地平線上に黄色い大気が広がっている。

%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%AB3.jpg

黄色い大気は、コンビナートからの煙によるスモッグ。
石油を汲み上げた際に吹き出した天然ガスが大気中で燃やされてできたものだ。
スモッグからは、酸性雨の原因となる二酸化窒素が含まれている。
その排出量は、アメリカの主要都市よりも多い、7万トンにも達している。
この膨大な二酸化窒素が酸性雨となって、アラスカの地表に降り注いでいるのだ。

NY支局/Y.K.