
決勝の日本vsアメリカは、24歳vs23歳のエース対決となった。
日本が世界に誇る超剛速球の上野由岐子と、左腕から繰り出す超変化球のオスターマンと。
タイプの違う二人が国際舞台にデビューしたのは、同じ2001年だった。USカップでオスターマンがアメリカチームの優勝に貢献すれば、上野はその直後に行われたカナダカップで、日本の優勝に貢献した。
あれから5年。二人はチームの「エース」として、世界選手権のピッチャーズサークルに立っていた。
二人は、共に開幕戦を投げ、3戦目に先発し、6戦目の予選グループの1位決定戦を投げ、北京オリンピック出場のかかった決勝ラウンドの1戦目を完投した。
日米のエースの起用が分かれたのは、その次の一戦だった。
決勝進出がかかった、日本vsアメリカ戦で、アメリカはオースターマンを休ませ、上野は投げた。
結果、エース勝負に出た日本が勝ち、翌日は上野が1試合、オスターマンが3位決定戦でオーストラリアに投げ、続いて決勝で日本に投げて2試合連続のピッチングとなったので、二人の登板した試合数はいっしょになった。中一日おいての2連投か、中一日をおかずの連投か。
決勝では5回までは互いに得点を許さなかったが、6回、アメリカの打撃のリーダー、メンドーザが上野の球をライトへライナーで叩き込んだ。2ランホームラン。はりつめていた何かが切れたような瞬間だった。
試合後の会見で、メンドーザは上野の配球をほぼ読んでいたと明言した。4番ブストスは「連続アーチを描けたのは、メンドーザが配球を教えてくれたから。余裕を持って振り切ることができました」とコメント。7月のUSカップと、ガラリと配球を変えた世界選手権初戦のアメリカ戦ではアメリカのバッターはまんまとしてやられたが、同じ投手から2日続けて三振を取られることはなかった。上野は7月の配球と前日の配球で、決勝で投げる球を読みきられてしまったのである。(写真はブストスのホームラン)
日本相手にオスターマンを1度しか投げさせなかったアメリカは、決勝で1安打完封。
記者会見ではカンドレア監督に「オスターマンを1度目の対決で温存したのか」と質問がなされたが、「温存ではない。フィンチを先発させても日本には勝てると思ったから」と言い切った。特筆すべきは、その監督の言葉に続くブストスの発言だった。
「代表として選ばれてここにやってきている選手は、みんな試合に出たいんです。試合に出るためにやってきているんだから。だから昨日の日本戦はフィンチやサザンが出た。フィンチで勝てると思ったから監督は先発させたし、本人たちは出たい、投げたいという気持ちが強かった。アメリカはみんなで戦っているチームなんです」
ブストス自身、シドニーオリンピックのころはなかなかいい場面で試合に出してもらえないという経験があった。今のアメリカチームでは、チャンスは全員に与えられる。産休明け4か月目のフィンチは球のキレが全盛期ほどなかったが、どんな国を相手に登板するときも、全力で投げ込んでいた。
4日の日本戦でフィンチは投げ、打たれ、味方の逆転がないままピッチャズーサークルをあとにした。
日本の好守備に阻まれて、得点に貢献できなかったブストスと、打たれたことを申し訳なく思うフィンチと。ここで負けたことが、さらにアメリカ選手たちに喝を入れた。
5日の日本戦で、上野から最初にヒットを打ったのはフィンチだった。そして上野から得点したのは、前日まったく上野から打てなかったメンドーザと、ブストスのMB砲であった。
「アメリカにはスピードに加えて、パワーがある。それが強みだ」とカンドレア監督。
以上の会見のコメントの中に、日本とアメリカの差異が明確に現れた。
日本はなぜ決勝ではアメリカに勝てなかったのか。1度は勝っているのである。
アメリカの世界選手権の連勝記録は破ることに成功した。
あと1歩まで王者を追い詰めながら、あと1歩届かなかった。
その課題をそれぞれが自覚し、あと2年で克服していくしかない。
とはいえ、各国が力をつけていく中で、日本はオーストラリア、中国に辛勝し、「世界2位」の座を獲得した。それは選手たちにとって確かな自信になったはず。
同じこのスタジアムで2年後に笑えばいい。

■昨日の結果
◎カナダ 2-7 オーストラリア
→ローチ気迫のピッチング。オーストラリア、苦しみながらも打ちました。この時点でベスト4以上が決定し、オーストラリアも北京オリンピック出場権を得てホッとしていました。
◎中国 9-1イタリア(5回コールド)
→中国が1-0でリードするという緊張感の高い展開でしたが、中国選手のホームでのクロスプレーをめぐってのジャッジでイタリアが切れてしまった後は、ガタガタとイタリアが打たれ続けて自滅。9-1のコールドゲームになってしまいました。
◎日本3-1アメリカ
◎中国 0-1 オーストラリア
中国は日本戦で好投した投手を先発させ、エースのルーをリリーフさせましたが、オーストラリアのポーターのソロホームラン1本だけ先発投手が打たれ、負けてしまいました。オーストラリアはローチ投手を温存しつつ、ポーターの1点の入った次の5回からローチをリリーフさせ、中国打線をノーヒットに抑える力投。さすが35歳ベテランエースという投げっぷりでした。
苦しみながらオーストラリアは強くなってきています。日本のレオパレス21でプレーしているローチ投手は、ミックスドゾーンで「明日決勝で日本と戦いマス」と宣言して帰っていきました。
【本日の試合予定】現地時間
北京オリンピックの出場権がかかっている世界選手権。オリンピックのホスト国である中国が4位だったので、5位決定戦が、11時から行われることになりました。
■11:00 カナダvsイタリア
→特にイタリアは負けると北京オリンピックの予選を兼ねたヨーロッパ選手権を勝ち抜かなくてはならないので、ギリシャやイギリスが力をつけてきた今は、今日、何とか出場権を確保したいところ。カナダは今季調子がよく、上位チームに惜敗してきた力があるため、順当にいけぱ予選でも勝っているイタリアには勝てると思いますが、勝負は何が起こるかわかりません。
■15:00 オーストラリアvsアメリカ
■19:00 日本vs(オーストラリアorアメリカ)
今日の放送予定
★5日 (火) 地上波 24:50~26:20 / CS放送日テレG+ 24:30~26:30
さぁ、いよいよ決勝戦です。日本から気合いの風をテレパシーで送ってください!
17名の選手全員が、自分のやるべきことに徹して、全員で戦えればきっと!!
みんなで応援しましょう!!

これはかなり「あれ?」と思ったのですが、6回表に2死からブストスのヒットでロウが帰って1点が入り、2死2塁で当たっている5番のヌーベマンが打席に入ったときに、ブストスに代走を送らなかったことです。4年前の世界選手権では、2塁ランナーとして足も速く、キャッチャーにタックルできるミッシェル・スミス(アメリカの有名な左腕のエース級投手)を代走に送ったカンドレア監督が、足の遅いブストスがになぜベンチの控えにいる俊足のガリンドゥーやアマンダフリードを代走に送らなかったのか。ガリンドゥーは代打で出したかったというのもあると思いますが、それであればユーティリティのアマンダがいました。
結果的にヌーベマンはセンター前に打ち、山田の好返球がバックホームへ!そこで足の遅いブストスが完全にアウトのタイミングでキャッチャーに体当たりもせずホームへスライディングしたもののアウト(写真)。もし足が普通に速い選手であれば、クロスプレーになってセーフだったかもしれません。そうすれば1点差で、当たっている6番のデュラン選手に打順が回りました。
何か意図があったのかもしれませんが、結果的にカンドレア監督が「アメリカは少ないチャンスをモノにできなかったが、日本はできた。その違いが敗因」とインタビューに答えていましたが、今日のオーストラリア戦、そして勝てば日本戦で、アメリカがどんな勝負をするのか。
オーストラリア戦では全力で初回得点にかけてくるでしょう。オスターマンを決勝用に最初は温存して状況次第でリリーフさせるのか、それとも連投覚悟でいかせるのか。温存で他のピッチャーに投げさせることで、チームの一体感をつくって決勝へ向かうのか。
上野の球威に押された感のあった昨日を反省して、コンパクトなスイングやたたきつける打球、当ててころがしてといろんなことをしかけてくるでしょう。
6連覇がかかっているアメリカの必死さがどんなものか。しっかりと見せてもらいたいと思います。
会見の席上でカンドレア監督があれほど穏やかに、笑みさえ浮かべながら敗北を認めるコメントを見たのは、ソフトボールを長く取材してきて、初めてのことでした。
世界選手権を20年間勝ち続けてきているアメリカは、この大会に6連覇をかけています。しかし、アメリカにとって最大の目標は、オリンピックの4連覇にあります。アメリカという国で、オリンピックからこの競技が除外されたあとも、この競技の人気を下げないためには、オリンピックに採用されたアトランタから北京まではをパーフェクトで制覇し、金字塔を打ち立てておかなければ、国内でのポジションが危ういのです。
カンドレア監督は、今回、あえてベテランのリサ・フェルナンデス投手を代表から外しました。リサはアテルネオリンピックですべてオーストラリア戦を投げきったアメリカの3個の金メダルのエースであり、打ってはアテネオリンピックで打率世界一位に輝いたアメリカの不動の5番打者でもあります。
リサは今年の年明けに出産しました。代表に戻るための計画出産です。ブランクをカンジさせない復帰でだれもが代表入りを信じていたのですが、今年6月のセレクションキャンプでリサは落とされてしまいました。
選ばれたピッチャーの、3番手以下と比較しても、まったく遜色がないリサをなぜあえて落としたのか。そしてカンドレア監督はチームをどういう方向に持っていこうとしているのか。日本人的な戦略と情緒を持つカンドレア監督は「長い目」「あえて」「日本に強い選手」「短距離選手のようなスタートへのこだわり」という4つのポイントを持っています。
昨日の会見では「1回のチャンスに得点できなかったことが、大きかった」とまず切り出しました。アメリカは1回に得点したときの勝率と、できなかったときの勝率、勝ち方が大きく変わるという特徴があります。
ロウかワトリーが出て、クリーンアップで1点。
昨日もその流れでしたが、ブストスの2塁打になりそうなレフトへの強いあたりを守備は代表の中では完璧ではないと言われている馬渕が好捕。馬渕は「打球が近くで急に伸びたので驚きました」とあとで言っていましたが、むずかしいあたりを好捕したことで、試合の流れが日本に傾いたように思いました。
アメリカは日本に強いフラワーズという選手を今まで出していなかったのに7番で起用。
スタミナに問題があるオスターマンは中一日、どうしても休ませざるをえなかったのでしょうが、同時にここまでチームを地味な場面で投げて精一杯支えてきた、2番手のフィンチ投手、サザン投手の今後へのモチベーションと経験を考えて、登板させた部分もあるかもしれません。
もちろん、今のリサ抜きの新しいチームで優勝して自信はつけさせたい。しかし、2年後を見据えて、決勝の前の試合で「あえて」選手に貴重な経験を積ませる。目先のことと、もっと先にあることと。その2つをカンドレア監督は考えているように感じました。
そんなカンドレア采配で1つの誤算と思えることが。
なお、この記事はひとつの仮定として、創造して書いている部分も多いのでご了承ください。今までのアメリカの采配から鑑みて考察しています。
つづく
記者会見で外国の記者から、上野投手はこんな質問を受けました。
「日本が勝ったのは、アメリカが弱くなったからですか?日本が強くなったからですか?」
上野投手はこう答えました。
「私たちは強いアメリカに勝つために、一所懸命練習してきました。アメリカもまた、最近は日本のことを認めてくれていて、日本に勝つために練習してきていると思います。どちらの力が弱いか強いかではなく、私たちは(互いに対する認め合い、尊敬するような気持ちで)今、良きライバルとして、互いに切磋琢磨しながら戦っています。今はそれだけです」
昨日、日本は決勝進出をかけて、アメリカを3-1で破りました。シドニーオリンピックの予選で、アメリカに勝利して以来、世界選手権やオリンピックでは6年ぶりに日本がアメリカを破ったことになります。
アメリカのカンドレア監督は「YUKIKO UENOと日本の機動力に完敗」と潔いコメント。エースのオスターマンを登板させずに休ませたアメリカと、上野の連投に賭けた日本と。そのことが、最終日にどう影響してくるのかも注目したいポイントです。
昨日の試合内容に関しては、昨晩に放送した地上波をごランになった方はおわかりかと思いますが、今朝の新聞ではかなり大きくとりあげられているようですね。
ここでは新聞にあまり出ていなかった、独自の情報をお届けします。
日本チームはアメリカに、この段階で勝ったことに喜びすぎてはいません。昨日の勝利は、最終日を1試合にして、少しでも万全の状態で臨むための勝利。選手はとにかく今日の決勝に向けて、気持ちを集中させています。
どこの国でも本当にすごいものに、素直に反応するのは子供です。昨日は試合後に、上野選手を中国の少年たちが紙切れを持って、興奮気味においかけてきてサインをねだる姿が見られました。そこには大人の世界の反日感情など微塵もなく、ただただ、目を輝かせて、すばらしいピッチャーに夢中な子供たちのわくわく、ドキドキするようなスポーツならではの光景がありました。
今日は中国の試合はありません。それでもソフトボールを見たいと思って会場に足を運ぶ中国のお客さんはどのくらいいるのだろうと思います。
ソフトボールは最高に素敵なスポーツだ! そんなふうに人を魅了するすばらしい試合が見られることを、期待しています!
上野選手は「決勝にはオーストラリアも来る可能性がある。アメリカとだけあたるという先入観を持たずに、どちらがきても万全のピッチングができるように調整したい」と言っていました。
選手はみんな、落ち着いて、集中できています。あと1試合。17人の選手が悔いなく戦える決勝戦がてぎるように応援したいと思います。

さぁいよいよ、全勝対決です。日本vsアメリカ。これに勝てば決勝進出。負けたら、敗者復活で決勝めざしてもう1試合を戦わなくてはならなくなります。ソフトボールの大会で見られる、ページシステムというタフな決勝ラウンドの仕組みです。
■11:00 オーストラリアvsカナダ
→オーストラリアはエース・ローチ投入で勝負に出るでしょう。カナダもメダル獲得のチャンスがある大会だけに、ホルツ、ベイら主力投手を投入すると思います。今大会、今ひとつ調子が出ていないオーストラリアと、今年はかなりアベレージの高い試合をしている上り調子のカナダ。いい試合になると思います。
■13:30 中国vsイタリア
→イタリアがしぶとく勝ち残ってました。でも予選でも当たっているカードなので、中国としては戦いにくくはないと思います。ホームゲームの意地で勝ち抜くでしょう。
■16:00 日本vsアメリカ
→ここまでの全勝対決!(冒頭の写真はアメリカのメンドーザとローラ・バーグ)
→みどころ。「世界最高の3番打者対決」。メンドーザは「日本がライバル」「上野投手はすばらしい選手」とアメリカ選手の中でもめずらしく、日本のことを明言する選手。今までも日本と数々の名勝負を行ってきた選手です。山田恵里選手とメンドーザ選手。どちらが世界最強の3番打者か。今日の二人の活躍に注目です。
→1番、2番のロウ選手、ワトリー選手の足を生かした攻撃に注目。立ち上がりがガンガンプレッシャーをかけ、どちらかが出塁すると、クリーンアップで1点をまたたまくにとることに、カンドレア監督はこだわっています。とにかく1回のアメリカの攻撃は必見。
→4番ブストス選手(写真)、5番ヌーベマン選手のパワフルヒッテイングは世界一。特にホームランはものすごい飛距離です。まだ今大会はホームランが出ていないブストス選手。アテネオリンピックはホームラン王でした。

→投手はオスターマン選手はかなり疲れているような印象でしたので、フィンチ選手の登板も考えられます。まだ日本にあてたことのないアボット投手という話もありますが…。
さぁ、日本はアメリカにどんな戦いを見せてくれるのか!楽しみです。
■18:30 今日の第一試合と第二試合の勝者の対戦
→勝ったら明日の決勝をかけた試合へ。
9月4日 (月)の放送は、 地上波 24:50~26:20 / CS放送日テレG+ 20:00~22:00

■オーストラリア 2-11 アメリカ(6回コールド)
アメリカは中1日でエースのオスターマンが先発。オーストラリアはケリーハーディ。2回裏にアメリカは4番ブストスのセンターオーバー2塁打、続くキャッチャーのヌーベマンが2ランホームランで先制。しかし、3回表、1番モローがレフト前、サンドラアレンがレフトオーバーで1点。ポーターがセンター前で1点。オーストラリアが同点に!
しかし、盛り上がったのはここまで。
その後は、山田恵里選手と「世界最強の3番」を争う、アメリカのメンドーザ選手が2ラン。デュランはソロホームラン。そして最後は6回裏にまたメンドーザ選手が2ランを放って、コールドにしてしまいました。
どうもオーストラリアは今回はターニャ・ハーディング投手の調子が今ひとつで、今日はリリーフしたときに4失点してしまいました。
オスターマン投手(写真下)は、ちょっと疲れているのか、球にキレはありませんでしたが、カンドレア監督がアメリカのエースとして育てようという意識があって、上野投手と同じタイミングの試合に全部投げています。この試合では6安打で2失点でしたが、完投しました。

■日本1-0中国(8回タイブレーカー)

三科選手と狩野選手
■カナダ3-2台湾
→カナダはローリー・ダニエルが完投。カナダは3番シーナローウィック、メラニー・マシューズらのタイムリーとエラーなどで3点をとり、台湾が2点を返して追いついてきたが、逃げ切った。
■ベネズエラ1-2イタリア