2008年11月12日

LIFE=タンデムマス法による新生児検査

私が向かったのは、島根県にある大学病院。

小児病棟ではたくさんの子どもたちが病気と闘っていました。

子どもたちに襲いかかる数々の病気。
ここ、島根大学では、子どもの病気を「予防」する
最新の研究が行われています。

それが、「タンデムマス法」という検査です。

新生児室に特別に入らせてもらいました。

これは生まれてすぐの赤ちゃんが受ける検査です。
目的は、「生まれつきの病気」、
つまり先天性の病気を早く発見し、将来障害が出ないよう予防しようというもの。

2.jpg


現在も、先天性の病気6種類については、検査が行われています。
一方、タンデムマス法の検査をすると、
発見できる病気が22種類と飛躍的に増えるのです。

どんな種類がわかるのかというと、「知能に障害が出る病気」や
「筋力の働きが弱まったり突然死亡したりする病気」や、
「急に意識を失い全身が動かなくなる病気」も
新たに見つかるようになったのです。

3.jpg

まずは赤ちゃんの血液を紙にしみこませます。

4.jpg


そして血液を乾かし、紙の1部を切り取ります。

5.jpg

実は、ここまでは従来の6種類の病気がわかる検査と同じやり方です。
これまでと違うのは、最新の「タンデムマス」という機械にかける事なのです。

6.jpg

この血液をとる検査、現在、⑥種類の病気に関しては
実は、生まれてくる赤ちゃん全員が受けています。
その数、1年でおよそ110万人。
しかし、そのうちタンデムマス法の検査まで受けているのは1年で22万人。
2割の赤ちゃんだけなのです。

7.jpg

と言うのも、タンデムマス法はまだ研究段階のため、
この検査を受けられるのは限られた地域だけ。
オレンジ色の7つの県では、生まれた子どもは全員検査を受けることができます。
緑色の都道府県では、一部の市町村や一部の病院でしか受けられません。

8.jpg

もし、全ての都道府県で全員が受けられるようになれば、
年間100人の障害が防げると期待されています。


タンデムマス法の検査でわかる病気は、
放っておくと、68%の子どもが発症して、
障害を持ったり、ひどいときには死亡したりします。
しかし、検査で病気を「発見」し「予防」できれば
障害が出たたり、死亡する割合は20%に減らすことができます。


愛媛県四国中央市。
ここに、タンデムマス法の検査のおかげで症状が出るのを
予防している赤ちゃんがいました。

元気に笑う穂波君。生後7か月です。

今年3月、生まれてすぐ受けたタンデムマス法の検査で病気を発見。
病名は「グルタル酸血症2型」。

15万人に1人がかかる病気です。
穂波君は、脂肪分や蛋白質を体内でうまく分解できません。
そのため、今は、低脂肪や蛋白を含まない、
特別なミルクを飲んで食事療法をしています。
これで突然、発作がおこり脳などに障害が出るのを押さえているんです。

191919.jpg

もし検査を受けていなかったらいつ障害が出ていたかわかりません。
病気を早期発見できたおかげで何の症状も出ず元気に育っています。

22種類もの病気を見つけられる画期的なタンデムマス法の検査。 
しかし研究段階のため、今後クリアすべき課題もあるといいます。
実は、さらに多くの病気も見つけられるのですが、
まだ治療法が確立されてないものは、
あえて検査をしていないというのです。

11.jpg

「発見」と「治療」、この両輪がうまく回るように
研究が続けられています。

投稿者:板谷由夏

calendar